こんばんは!訪問鍼灸師のかげひなたです。
13歳の頃から鍼灸師を目指し、高校卒業後に鍼灸専門学校へ進学。
2年時からはコロナ禍という前例のない環境下での学生生活を強いられながらもそれを機に勉強に没頭。
鍼灸国家試験を突破して晴れて鍼灸師となりました。
しかし、最初に就職したグループ院での経験から、「本当に自分がやりたい鍼灸治療とは何か」
を深く考えるようになり、転職を決断。
巡り巡って訪問鍼灸師となり2024年12月時点で4か月が経ちました。
転職前の自分もそうだったように、訪問鍼灸については鍼灸師の間でもまだまだ認知度が低いと感じています。
さらには訪問鍼灸という選択肢を知らないがために脳梗塞後遺症や脊柱管狭窄症などで思うように身体が動かせずに苦しんでいる患者さんも多くいるのが現状です。
訪問鍼灸について少しでも知ってもらいたいと思い、この記事を書こうと思いました。
グループ院での過去、訪問鍼灸に転職した今、そして24歳の現役鍼灸師が思い描く未来を「訪問鍼灸奮闘記」と題してシリーズ化しながら言葉にしていこうと考えています。
前回のお話はコチラ↓
今回はグループ院退職後から訪問鍼灸院への入社、訪問鍼灸院で働いて感じたことを中心に書いていきます。
訪問鍼灸について興味がある人、逆に全く興味がない人どちらにも刺さる内容になっております。
1つでも新たな気付きや価値観を得ることができれば幸いです!
選択肢にすらなかった訪問鍼灸
![選択肢になかった訪問鍼灸](https://i0.wp.com/kage-hinatablog.com/wp-content/uploads/2024/12/canva-choice-between-acceptance-and-rejection.-MAFmD7m6u9g.jpg?resize=1024%2C685&ssl=1)
転職活動の際はエージェントさんを介して、あらゆる求人を紹介して頂きました。
- スポーツ障害に特化
- 新たに鍼灸部門を立ち上げたい整骨院
- 治療の柔軟性の高い個人院
1社だけ見て就職先を決めてしまったという学生時代の反省を活かし、少しでも興味を持った治療院には積極的に足を運びました。
見学を通して前向きな反応をくださる治療院もありましたがそれだけではありませんでした。
グループ院を2年で辞めたということ
やはり新卒で入った会社を2年で退職しているという点はネックになりました。
思うことはいろいろありましたがすべて受け止めました。
転職活動においては自分にとって都合の悪いこともすべて受け止める覚悟が必要です
退職のタイミングが早ければ早いほど強い覚悟はもっておかなければなりません。
訪問鍼灸へと道をつないだ転職活動エピソード
グループ院の退職間際だった5月半ば
マニュアルがありながらも自由度は比較的高く、今後は鍼灸治療に力を入れ東洋医学的な視点も入れた治療をしていきたい。という治療院のお話が飛び込んできました!
自分にとってはこれ以上ない内容で受けることを決断し、履歴書も用意してあとは面接の日を待つだけでした。
やっと次の場所が決まると思ったのも束の間、事件が起こります。
面接の数日前、今までの話をすべて無しにしてほしいという連絡が入ったのです。
転職活動は本当にいろんなことが起こります。
また1から転職先を探すことになりました。
地元の治療院だったこともありかなり落ち込みましたが、すぐに切り替え、新たなご縁を待つのみでした。
訪問鍼灸との出会い
![訪問鍼灸との出会い 訪問鍼灸との出会い](https://i0.wp.com/kage-hinatablog.com/wp-content/uploads/2024/12/tl15.webp?resize=550%2C321&ssl=1)
これが退職直後の6月の始めの話。
そしてこのタイミングで訪問鍼灸院の話が舞い込んできます。
鍼灸師としてケガや痛みに苦しむ人々をたくさん救いたいという思いが強かった自分にとって訪問鍼灸は縁の無い世界だと思っており、全く興味のある領域ではありませんでした。
マイナスイメージの方が強かった
![](https://i0.wp.com/kage-hinatablog.com/wp-content/uploads/2024/12/tl18.webp?resize=550%2C367&ssl=1)
訪問鍼灸は完治という概念がなく、治療というよりも患者さんと楽しく話したり、同じ時間を共有したりすることに重きが置かれている。
そんなイメージを持っていました。
訪問鍼灸に対して興味がないので訪問鍼灸に関しての知識もほぼありませんでした。
脳卒中とか変形性関節症とかそういう患者さんを診る。早く帰れる。くらいのレベルです。
・身体の状態を良くするというよりも現状維持を図るもの
・治療効果よりも楽しい空間や時間を提供できれば良い
・高い技術を求められることはない
・拘束時間が短くて働きやすそう
しかし、訪問鍼灸の知識が無かったからこそ、全く話を聞かずに見送るのも失礼にあたるなと考えていました。
まずは話を聞いてみて訪問鍼灸とはどういうものかを知ろうと決めました。
訪問鍼灸を勧めたエージェントさん側の考え
エージェントさん側の意図としてはグループ院より拘束時間が短く、技術に特化している。
そしてグループ院と遜色ない給与で働くことが出来る。という点から紹介に踏み切ったとのことでした。
・グループ院と比べると拘束時間が短い
・給与に関してもグループ院と遜色ない
・技術にこだわる姿勢は強い
確かに条件面はとても良いと感じていました。
あとは自分が今まで経験もなければ興味を持ったこともない訪問鍼灸に対してどれだけの熱意を持って働くことが出来るかに懸かっていました。
院の業務が忙しいらしく夜9時からオンライン面談スタート。
訪問鍼灸への興味が湧いた理由
約1時間かけてじっくりと訪問鍼灸についてしてくださりました。
・患者さんの中には歩くこと、立つことが出来ない患者さんが多くいる。
・自力で治療院に足を運べない患者さんを支えるのが訪問鍼灸師。
・患者さんに与えられる喜び、人生に与える影響はとてつもなく大きい。
・訪問鍼灸の価値やりがいを感じながら働くことができる。
物凄く心動かされた1時間でした。
立ったり歩いたりできないということは外に出るのも一苦労。
買い物に行ったり近くの公園に行ったり、旅行に行ったり。あらゆることが出来なくなるのです。
それは人生の楽しみが減り、あらゆる可能性が消えていくことに繋がります。
当たり前のことが出来ないことがどれだけ辛いことか。とても考えさせられた時間でした。
それと同時に、患者さんたちを救うことが出来ればどれだけ喜ばしいことか。
訪問鍼灸師として患者さんの力になりたい
そう強く思いました。
入社を決意した理由
東洋医学がどうとか自分のこだわりがどうとか関係なくなるくらい。とにかく患者さんの役に立ちたいという想いに満ち溢れました。
院長先生の熱意に心を動かされ、これだけの強い想いを持って治療をしている人のもとで働きたいと入社を決意しました。
・患者さんの人生の楽しみと可能性を広げたいと思ったから
・訪問鍼灸が与えられる価値を知ることができたから
・自分のこだわりよりも患者さんの役に立つことの方が大切だと気付いたから
・院長先生の熱意を強く感じたから
2024年7月無事内定を頂き約4ヶ月にわたる転職活動が終了しました。
それと同時に訪問鍼灸師としての新たな道がスタートしました。
訪問鍼灸で見えた新しい可能性
![訪問鍼灸の可能性](https://i0.wp.com/kage-hinatablog.com/wp-content/uploads/2024/12/tl9.webp?resize=550%2C367&ssl=1)
同じ鍼灸とはいえ訪問鍼灸という完全に未経験の世界で働くことに対してはもちろん不安もありました。
知識も技術もまだまだ未熟な自分にとって学ぶべきことはたくさんありました。
帰宅時間が早かったからこそ、そこからが勝負でした。
訪問鍼灸を利用する患者さんの本気度
訪問鍼灸の現場に入って1番驚いたのは患者さんの本気度。
入社前に抱いていた治療よりも患者さんとのコミュニケーションや楽しい時間に重きを置くことが出来れば良いというイメージは一瞬にして覆されました。
歩けるようになりたい!動けるようになりたいと話す患者さんばかりでした。
どの患者さんも今よりも良い状態にしてほしいと想いを伝えてくれるのです。
自分も中途半端な気持ちで治療してはならないと感じました。
何としてでも患者さんの想いに応えようという一心で治療や勉強に取り組む姿勢が芽生えました。
毎日が勉強の日々
脳梗塞や脊柱管狭窄の患者さんが大半を占めていたのですが中には初めて聞くような疾患もありました。
各疾患の概要や治療の進め方、手術術式の概要、禁忌肢位、評価法…幅広い知識が求められます。
BRSってなんだったかな?
MMTどうやって評価するんだったっけ?
基礎から少しずつ学び直しました。
そして今も学び続けています。
・脳梗塞をはじめとしたあらゆる疾患の概要
・人工関節についての術式や禁忌肢位
・BRS、MMTなどの評価方法
・バイタルサインについての知識
この職業は一生学び続ける仕事だなと改めて思いました。
今日も明日も1年後も5年後も10年後も学び続けていきます!
まとめ:訪問鍼灸への転職により人としても成長できた
訪問鍼灸に全く興味が無かった自分が訪問鍼灸の世界で生きるとは未だに驚いています。
鍼灸師のキャリアとして経験しておいて良かったなと日々思いながら働くことが出来ています。
そして、患者さんから学ぶことは治療のことだけではありません。
自分の何倍も生きてきた方たちと接するということ。
人生の大先輩を相手に仕事をするということ
戦時中の恵まれない時代を生きた方たちの言葉にはとても重みがあります。
元気に暮らしていた生活から一転、生死の境を彷徨った患者さんから聞くお話はとても心が痛みます
それでも前を向き続ける姿勢に心動かされます。
鍼灸師としてだけでなく1人の人間として成長させてもらえる環境で人生を歩めていることに感謝!
最後までお読みいただきありがとうございました。