今回は経穴についてのお話。委中穴について徹底解説していきます。
「腰背は委中に求む」で有名な委中穴。
本当に腰や背中の症状に効果はあるのか?それ以外にどのような使い方ができるのか??
基礎から実際の使い方までを詳しく見ていきましょう!
・委中穴の基礎知識
・ 委中穴と他の経穴との関係
・ どのような症状に効果が期待できるか
委中穴の基礎知識
委中穴の基礎知識についてまずは押さえておきましょう。
ここでは位置、要穴、他の経穴との位置関係について説明していきます。
委中穴の位置
まずは委中穴がどこにあるのかについて説明していきます。
委中穴は足の太陽膀胱経に属する経穴です。
場所は膝の後面、膝窩横紋の中点にあります。
解剖学的に見ると大腿二頭筋腱と半膜様筋腱の間に委中穴が位置します。
膝を曲げた時にできるシワの真ん中に取るのが委中穴です。

委中穴が持つ要穴
次に委中穴がもつ要穴について説明していきます。
委中穴は次の3つの要穴を持ちます。
・ 膀胱経の合土穴
・四総穴(腰背は委中に求む)
・膀胱の下合穴
国家試験でも臨床でも要穴についての知識と考え方は必要不可欠になってきます。
腰背部との関りは絶対に押さえておきましょう。
また、足の太陽膀胱経の経穴と言うだけ立って膀胱との関りも深いため、泌尿器疾患にも有効です。
委中穴と他の経穴との関係性
次に委中穴と他の経穴との関係性を見ていきます。
他の経穴との関係性を見ていく上では経穴どうしの位置関係がポイントになってきます。
委中穴の外方には同じ足の太陽膀胱経に属する委陽穴が、内方には足の少陰腎経の陰谷穴があります。

同じ足の太陽膀胱経に属する委陽穴は三焦の下合穴です。
委中穴が属する足の太陽膀胱経と表裏関係にあたる足の少陰腎経の陰谷穴は腎経の合水穴であることもチェックしておきましょう。
このように経穴同士の関係性を深めていくとより理解が出来るようになってきます。
経穴の学習方法についてより詳しく知りたい方はコチラ↓
委中穴はどんな症状に効く?
基礎知識が分かったところで次は委中穴がどのような症状に効果があるのかを見ていきましょう。
委中穴は腰痛と膝痛の治療に対して大きな効果が期待できます。
まずは腰痛との関係性について見ていきましょう。
腰痛と委中
その昔、明という時代(1368年~1644年)に書かれた鍼灸聚英という古典の中に「腰背は委中に求む」という記載があります。この記載の通り、腰や背中の痛みにはとても効果的です。
今から約500年前から使われており、歴史がある、そして経験医学として効果が実証されていることがここから分かります。
また、委中穴の働きとして舒筋通絡というのがあります。
これは筋肉の緊張を取って経絡の流れを良くするという意味です。
つまり、委中穴に刺激を入れることで足の膀胱経の気血の流れが良くなるということを示しています。
足の太陽膀胱経は腰も通るためここからも腰痛に効果が期待できることが分かります。
ここで押さえておきたいポイントが1つあります。
委中穴はすべての腰痛に効くわけではない
ということです。
医師でありながら鍼灸治療も行っていた西田皓一先生の著書である「東洋医学見聞録」に次のような記載があります。
急性の片方の膀胱経の腰痛治療に最も効果があり、しかも即効性がある。
東洋医学見聞録上巻
ぎっくり腰などの急性の腰痛には効果があり、反対に慢性の腰痛や膀胱経の流れから外れた場所の腰の痛み。
例えば足の少陽胆経の流注上の腰痛に対しては高い効果は見込めません。
どのような腰痛に対しても委中穴を使えば良いとは限らないことを念頭に置いておきたいですね。
委中穴はすべての腰痛に効果があるわけではない
委中穴と膝痛との関係
次に委中穴と膝痛との関係性について見ていきます。
委中穴は膝の後面にあるため、膝の痛みに対しても効果があります。
痛みが漠然として膝全体が痛かったり痛い場所がはっきりしないようなケースでも委中穴は効果が得ることが出来ます。
腰痛の所でも述べた通り委中穴の働きとして舒筋通絡という働きがあるためです。
また、涼血泄熱という身体の余分な熱を取り去り、熱のバランスを保つ働きや去風湿という風邪や湿邪を取り除き関節が動きやすいようにするという働きも委中穴は持っています。
そのため、湿の多い梅雨の時期に膝が痛くなる。というケースにも委中穴は効果を発揮します。
また、上述した東洋医学見聞録の中には次のような記載があります。
膝関節症への適応は急性、慢性を問わず「委中」は即効性がある。
東洋医学見聞録上巻
腰痛とは違って膝痛に関しては急性の痛みに対しても慢性の痛みに対しても効果が期待できる。
というのはなかなか興味深い内容です。
まとめ:委中穴は腰痛、膝痛の際に用いたい一穴
以上が委中穴についての解説でした。
経穴1つを取っても様々な使い方、考え方があるなと感じました。
腰痛、膝痛以外にも様々な疾患、症状に用いることが出来そうですね!
参考書籍
本記事を書くにあたって参考にした書籍はコチラ↓
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どちらも東洋医学的な視点から経穴を詳しく見ている書籍となっています。
ぜひ勉強に役立ててみてください!
この記事が少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました‼
コメント
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